「域学連携」シンポ成果~早稲田大学(2013年5月)

洲本市と龍谷、九州

淡路島の兵庫県洲本市と龍谷大学(京都市)、九州大学(福岡市)、早稲田大学(東京都)の3大学が連携して地域おこしに取り組む「域学連携」事業の初会合が2013年5月30日、洲本総合庁舎(洲本市役所)であった。活動拠点となる洲本市内4地区の住民、大学生、NPO法人など11団体30人が参加した。

淡路島の自然や太陽光

総務省のモデル事業。2013年8月から1カ月間、大学生約20人が地域に滞在し、淡路島の自然や太陽光や水力発電などの再生可能エネルギーを生かした観光事業を考える。

「域学連携」事業の会合では対象の千草竹原、上内膳、五色町三野畑、五色町鳥飼浦-の4地区関係者が各活動を紹介。「水力発電で活性化したい」「自然と漁業の融合を考えたい」などと語った。大森谷里山整備委員会の小森基弘さん(71)は「高齢化が進み、地域には諦めの雰囲気があるが、何とかしたい。若い人の視点や発想からヒントをもらえればうれしい」と期待する。

「域学連携」事業の会合に先立ち、龍谷大の学生ら9人は地域を視察。龍谷大学の白石克孝教授(55)は「洲本の未来を見据えて活動する人とたくさん出会えた。住民と学生が考えた案を、大学や行政の力を活用して実現していきたい」と話していた。

芽室町が北大、早大と域学連携(2013年5月)

大学院生と芽室町民が共同研究

芽室町は北海道大学、早稲田大学と連携し、芽室町の将来像を検討し、景観をキーワードにした芽室町づくりの具体策などを模索する研究事業に取り組む。2013年7月から2013年10月にかけて北海道大学、早稲田大学の大学院生が3回来町、滞在し、芽室町民と共同で調査、研究などに取り組む。

総務省の「域学連携地域活力創出モデル実証事業」

地域の課題解決のために地域と大学が連携して取り組む総務省の「域学連携地域活力創出モデル実証事業」。2013年度は全国で16地域が対象となり、北海道内では北海道と芽室町で実施する。

景観を鍵に町づくり

芽室町は2012年度に、都市計画の基本方針「マスタープラン」、緑化推進のための「緑の基本計画」をそれぞれ見直し、再策定している。その際に芽室町民から募集した意見やアイデアなどから、「景観を鍵にした町づくり」構想や、芽室町民それぞれが思い描く地域の将来像のアイデア49項目からなる「みんなの夢プラン」などを定めた。これらを実現する具体策を見いだすために、今回の研究事業を活用する。

交流、意見交換、共同作業、成果発表会

北大、早大のそれぞれ工学系の都市計画や建築を専攻する大学院生ら計17人が参加。2013年7月下旬、2013年8月下旬、2013年10月中旬の3回来町し、計20日ほど滞在。芽室町内視察、芽室町民との交流、意見交換、共同作業、成果発表会などを行う。

具体的な課題例には、芽室町の統一したイメージづくりを目指す公共案内サインのあり方などを想定している。研究成果は、提言に取りまとめられ、今後の芽室町の施策に反映させていく。

芽室町は、この研究事業費666万円を盛り込んだ2013年度一般会計補正予算を町議会の2013年6月定例会議に提案する。(有宗良治

山形県小国町が早稲田大、兵庫県立大、法政大と連携(2013年11月)

若者の発想を具体化

山形県小国町は2013年度、大学と連携して地域資源を発掘する「域学連携地域活力モデル実証事業」に取り組んでいる。大学生が小国町内でフィールドワークを行い、若者目線でアイデアを提言。学生が東京で小国の郷土食を試験販売することも決まり、提案が形になってきた。

学生が10日滞在して視察

総務省の補助事業として実施しており、小国町は早稲田大、兵庫県立大、法政大と連携している。これまで2013年8~11月に3回、学生計33人が小国町内に4日間から10日程度滞在して小国町内を視察。最終日に報告会を開き、小国町民や小国町職員らに地域資源活用策を披露した。

合コン

2013年10月31日~2013年11月3日には早大生24人が訪れ、4班に分かれてフィールドワークした。2013年11月3日の報告会ではユニークなアイデアが次々と登場した。例えば、越後米沢街道十三峠の萱野峠を舞台にした合コン「カヤコン」。萱野峠に埋まっている敷石を発掘しながら交流を深める企画で、学生は「都会の若者が軽い気持ちで参加できるのは合コン」と訴えた。

20代OL

別の班は小国町に伝わる伝統的なおやつ「からこ」に注目した。からこは米粉、砂糖などをつぶしてこねた郷土食。学生は東京の20代OLをターゲットに販売戦略を考え、「お米で作った和きゃらめる」と銘打ち、かわいらしいパッケージやキャラクターも提案した。

東京のマルシェ(市場)イベント

発表を聞いた小国町民からは「からこがチャーミングに生まれ変わった」と好評だった。このからこを試作品として2013年11月22、23日、東京のマルシェ(市場)イベントで学生らが試験的に販売する。小国町産の雑穀で作った菓子などを詰め合わせたギフトセットも販売する予定。小国町側は「町職員が驚くような発想がちりばめられており刺激になる。(からこは)ある程度販売が見込めれば産業化につなげたい」と評価している。

早稲田大学商学部

東京出身の早稲田大学商学部2年生の学生は小国の印象を「食材が豊富。地方の人は閉鎖的かと思っていたがとてもオープンだった」と話す。地域おこしで常に言われることだが、地元住民にとって当たり前のものでも、外の人から見れば貴重な資源となる。学生は2014年2月にも来町する予定。学生の活動にとどまらず、地元住民も巻き込んで地域の魅力を掘り起こし、伝えていってほしい。 (田村泰彦